老人ホームにおける介護事業の業種についての理解を深めよう

一般的に老人ホームと呼ばれている高齢者施設には、実はいくつかの種類があることをご存じでしょうか。老人ホームに関する正しい知識を得れば、身近な人が施設を利用する時にも大いに役立ちますよ。高齢者施設の形態の違いや、施設で提供しているサポートの種類、利用できる対象者などについて分かりやすくご説明しましょう。

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サービス業としての介護事業の役割

介護事業は、業種としてはサービス業に分類されます。

サービス業とは、サービスを必要とする人のニーズに応じてサービスを提供する業種です。介護を必要とする人のなかには、身体的な介護を必要とする人もいれば、日常的な生活面での援助を必要としている人もいます。

介護サービス業においては、それぞれの人にとって必要な介助や支援とは何かを見極めた上で、適切なサービスをすることが求められます。基本的な知識や技術に加えて、臨機応変な対応や気遣いも求められる業種だと言えるでしょう。

通所型事業と住居型事業

老人ホームにおける介護サービス事業は、大きく分けて通所型事業と住居型事業の2種類に分類されます。通所型事業では、サービスの利用者は、自宅から老人ホームに通って介護サービスを受けます。基本的には日帰りでの利用となりますが、宿泊施設がある施設の場合は、短期間宿泊してサービスを受けるショートステイというシステムも利用可能です。

住居型事業においては、利用者が老人ホームに入所してサービスを受けます。通所型事業と比べて複数の形態があるため、それぞれの特性を正しく理解した上で適した施設を選ぶことが大切です。

通所型事業における介護サービス

通所型事業は、デイサービスやデイケアと呼ばれています。デイケアの場合は、常勤医師の配置が求められるため、医療施設や介護老人保健施設において実施されていることが多いのが特徴です。デイサービスは、常勤医師の配置は必要とされておらず、幅広い形態の老人ホームでサービスが実施されています。

サービス内容としては、レクリエーションやリハビリテーションの実施や、入浴介助が挙げられます。レクリエーションでは、歌を歌ったり、軽く体を動かしたりします。クイズやパズルなど、頭を使って楽しむレクリエーションも人気です。

また、クリスマスやお正月といった行事に合わせた特別企画を用意する老人ホームもあります。充実した内容にすることで、長年通所している利用者でも飽きずに楽しめるように工夫している施設が多いです。

特別養護老人ホームのサービスの特徴

次に、住居型事業に目を向けてみましょう。特別養護老人ホームは、特養の略称で知られる老人ホームです。特別養護老人ホームに入所できるのは、要介護3以上の認定を受けている人のみです。(参照|ウチシルベ|老人ホーム紹介

日常的な生活全般において介助を必要としていて、自宅では十分な介護が難しい高齢者を対象とした施設と言えるでしょう。

専門的な知識や経験を持つ介護職や看護職のスタッフによる手厚い介助を受けることができるので、利用者にとっても家族にとっても安心して過ごしやすい環境です。バイタルチェックもこまめにしてもらえて、体調の変化に対しても素早く対応してもらいやすいのが特徴です。

特別養護老人ホームは、自治体や社会福祉法人が運営している施設で、費用面において比較的安く利用できる点も魅力です。

介護老人保健施設におけるサービスの特徴

老健施設とも呼ばれているのが、介護老人保健施設です。特別養護老人ホームと同様に医療法人や社会福祉法人が運営している公的な施設であり、経済的な負担は少なくて済みます。介護老人保健施設は、自宅復帰を目指すための施設という位置付けである点が、他の老人ホームとは大きく異なります。

積極的なリハビリテーションを通して、自宅で生活できるように援助してくれる施設で、入所期間に制限が設けられています。医師や看護師のほかに、リハビリテーションを専門とする理学療法士や作業療法士がチームを組んで、利用者の自宅復帰を支えてくれます。

豊富な知識を持つ専門家が計画的にリハビリをしてくれるのは、介護老人保健施設の大きな魅力です。

有料老人ホームの特徴

公的な要素を持つ施設がある一方で、民間企業が運営する有料老人ホームもあります。有料老人ホームは、介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、健康型有料老人ホームに分類されています。いずれの施設も、高齢者が快適に暮らすための何らかのサポートが受けられますが、サポートの種類や入所対象者に違いがあります。

介護付き有料老人ホームは、介護を必要とする高齢者のための施設です。入所することで、身体介護や生活支援のほか、レクリエーションやリハビリテーションといった幅広いサービスを受けて暮らせます。食事サービスが付いている点も魅力で、咀嚼能力に応じてきざみ食やミキサー食を提供してもらうこともできます。

全面的なサポートを受けることによって、生活リズムを整えて日々を暮らすことが可能です。また、サークル活動なども実施されているため、生きがいを見つけて心豊かに過ごせます。住宅型有料老人ホームは、生活支援サービスを受けられる施設です。

身体的な介護は必要ではないものの、日常的なサポートを受けながら暮らしたいと考えている高齢者に適しています。介護サービスを受ける場合は、訪問介護施設などと契約して利用することが必要となります。健康型有料老人ホームは、自立した高齢者が対象の施設です。

健康で日常生活に不便はないものの、施設による家事サポートや食事のサービスを受けることで、より快適にいきいきと暮らしたい人に適しています。シェフが腕を揮う料理を味わえるレストランをはじめ、温泉やスポーツジムなどを備えている施設も多く、施設ごとに多様な特性があります。

健康型有料老人ホームでは、外部に介護サービスを依頼することができないため、本格的な介護サービスが必要となった場合は、退所することが求められます。近年は、認知症高齢者向けのグループホームも注目されています。

入所対象者は、要介護2~要介護5の認知症を患う高齢者です。数名が一緒に暮らすシェアハウスのような施設で、他の入所者とコミュニケーションを密に取りながら暮らせるのが特徴です。

老人ホームにおける介護サービスを理解することの大切さ

高齢化社会が進むなか、老人ホームや介護サービスに関するニュースを耳にすることが増えてきました。高齢者の生活を支えるサポートを提供する介護施設にはどんな特徴があるか、どのような人が利用対象者となるのかについての知識を深めておくと、介護サービスの意義を正しく理解して適した活用法を知ることができるでしょう。